名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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レシオメトリック型SIRT活性検出蛍光プローブの開発

 SIRTはNAD⁺依存性の脱アシル化酵素であり、代謝疾患やがんなどの老化関連疾患と密接に関わっています。従来、SIRT活性を検出する「Off/On型」の蛍光プローブが開発されていましたが、プローブ自体の濃度変化や細胞内環境の影響を受けやすく、細胞内での定量的な評価には課題がありました。これに対し、レシオメトリックプローブは、2つの異なる波長の蛍光強度の比(レシオ)を利用するため、プローブ濃度や測定条件の影響を受けにくく、より正確な測定が可能です。
 当研究室ではこれまでに、SIRT活性検出プローブとして、蛍光ドナーにFITC、アクセプターにDabcyl(消光団)を用いた「Off/On型」のFRETプローブSFP3を開発していました(脱アシル化活性に着目したSIRT6活性検出プローブの開発)。本研究では、その知見を応用し、蛍光ドナーにクマリン、アクセプターにFITCを用いた「レシオ型」のFRETプローブを設計しました。SIRT1によってリジン残基に結合したアシル基が脱アシル化されると、クマリンとFITC間のFRET効率が変化し、蛍光比が変化する仕組みです。

 クマリンの構造、リンカーの長さや構造、およびペプチド配列(H3K9配列やQPKQI配列)の最適化を行った結果、Probe22が最も高い反応性とSIRT1選択性を示しました。Probe22は、従来のSFP3プローブと比較して約2倍高い反応効率(kcat/Km)を示し、他のSIRTサブタイプ(SIRT2~7)にはほとんど反応しませんでした。また、ニコチンアミドやEX527などのSIRT1阻害剤によって蛍光変化が抑制されることも確認され、SIRT1阻害剤のスクリーニングへの応用可能性が示されました。

 本研究では、クマリンを含むアシル基もSIRTによる脱アシル化を受けることを明らかにするとともに、クマリンとFITC間のFRETを利用して、高感度かつ選択的なレシオメトリックプローブを開発しました。このプローブは、SIRT1活性の定量的な評価や阻害剤スクリーニングに利用できることから、SIRT1の生理機能の解明や創薬研究に有用なツールとなることが期待されます。
(2019年度修士卒 菰田君による研究)

[発表論文]
J. Clin. Biochem. Nutr., 78, 102 (2026).

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